Fluentd に Treasure Data がコミットする理由
何故 Treasure Data は Fluentd の開発者/マーケターをフルタイムで雇っているのか?
@frsyukiが2011/7/19日に初めてFluentdをgithubにpushして以来、約3年になります。
最近、色んな人にこんな質問を受けます。何故Treasure Dataは Fluentd の開発者/マーケターをフルタイムで雇っているのか?なぜOSSなのか?競合もそのメリットを享受でき、実際にFluentdの上でビジネスを行っているスタートアップも数社いる、TDだけがリソースを前だしして不利にならないのか?
一言で答えるなら、トレジャーデータではもっと大きな思想/哲学を持ってFluentdを開発しています。
トレジャーデータを創業した当初、クラウドを使用してデータを処理するというのは、あまり一般的では有りませんでした。また、そもそもデータ、特にログデータなど従来では捨てられていたものを解析するという事に対して有用性を感じる人は増えて来ているものの、手元に解析可能な形でデータを集められている人はごく少数でした。
そこで強く感じたのが、まず「世の中の全ての開発者がデータを手軽に正しく集められる」ようにしないと行けない。そこを変えなければいけない。変えるなら自分たちが最前線で変えていく。競合が使ったってなんだっていい、関係ない、むしろどんどん使って欲しい。最終的に世界中の開発者が、データを使って新しいビジネスにチャレンジする/プロダクトを改善するのに、大きく貢献できればいいという事です。
これを踏まえてシステム・デザイン・思想・コンセプトを固めたのがFluentdです。熱海の温泉合宿で生まれたのは良い思い出です。あらゆるデータを統一的な方法で収集し、様々なシステムで活かす。コンセプトは非常にシンプルです。
また、トレジャーデータの創業者全員、OSSを愛しています。個人としても、高校生の時代からOSSの世界にドップリ。エンジニアリングの基礎はOSSのソースコード、そしてコミュニティの人に教えて貰いました。
ただし、その周りでビジネスを作るのが難しい事も全員知っています。OSSの歴史を見てみても、サポート提供だけで食っていくのは厳しいです。現実を見てみると、巨大な富を生み出しているソフトウェア企業は、ほぼプロプライエタリ・ソフトウェアを開発している企業です。
その上でトレジャーデータが挑戦しているのが、FluentdというOSSを一部に添えたクラウドサービスを提供、サブスクリプション型のSaaSビジネスを行うというモデルです。前例は有りません。上手く行くかは自分たち次第です。
ただ、創業者全員がOSSをビジネスコアの一部に据えたモデルで成功したいという思いが有ります。OSSに貢献しつつビジネスも成功したい、そこに強いこだわりが有ります。
本日、AWS本家ブログにFluentdが取り上げられました。公開して3年、Fluentdのエコシステムはどんどん広がり、様々なプレイヤー (IaaS, PaaS, SaaS) の人たちが実際に興味を持ち、使用してくれるようになりました。
- All Data Are Belong to AWS: Streaming upload via Fluentd
- Using Fluentd and MongoDB serverStatus for real-time metrics
- Collecting Docker Container Data with Fluentd
トレジャーデータでは、“データを簡単に、正しく扱える世界"が来る日をゴールに据えて、今後も引き続きFluentdに強烈にコミットしていきます。
また、トレジャーデータは絶賛採用中です。お気軽にコンタクト下さい。