UniFiで自宅に巨大スタジアム並のエンタープライズWiFi環境を整えた (1) 購入編
それではまず、私が導入したUniFi製品の一覧と構成を紹介していきます(本記事の一覧はこちら)。
UniFi製品の構成
今回はyabejpさんに相談させてもらった結果、以下の構成で導入を行いました。
頂いた構成アドバイスのポイントとしては、出来る限り有線を使用するです。有線LANを使用して出来る限りデバイスの近くまで近づき、ラストワンマイルだけ無線にするという考え方です。
私の家の場合、地下室にインターネット回線が来ており、そこから3つの部屋に有線LANが伸びている事がわかりました。今回はそれを利用して、地下室においたModem/Dream Machine/Switchから3部屋のAPまで有線接続を行い、そこから先は無線接続でカバー範囲を増やす形にしています。
ただし、どうしても安定した接続や低レイテンシを確保したいデバイス(e.g. 仕事用PC, ゲーム機, etc)のために、別途スイッチを仕事部屋に設置し、有線接続を行っています。
また、全ての製品はUniFi Network Management Controllerを通じてWebブラウザもしくはMobileアプリから管理することが出来ます。
導入した製品群
それでは、以下が私が2020年7月時点で実際に購入した製品群と価格です。こちらはアメリカの1軒屋に設置した際の製品構成・価格なので、日本の家であればAPは1-3個ですむため、5万円程度の投資になります。
製品名 | 個数 | 価格 |
---|---|---|
UniFi Dream Machine | 1 | $299 |
UniFi Switch PoE 8 | 1 | $199 |
UniFi Nano HD | 3 | $179 * 3 = $537 |
UniFi Beacon HD | 2 | $129 * 2 = $258 |
合計 | $1293 |
1: UniFi Dream Machine - $299 (1台)
UniFi Dream Machine (以下UDM)はルーター、WiFiアクセスポイント、コントローラー等、UniFiの主要機能が1つのハードウェアにまとまった製品です。
従来は一通りのネットワーク環境を整えるためにはUniFiの複数製品を買う必要がありましたが、Dream Machineを設置することで1つのハードウェアで全てを賄える統合型のデバイスです。
こちらのブログ記事にまとまっていますが、UniFiを最小構成の1台で試して見るならDream Machineを買いましょう。一部屋しかない場合などは、UDM 1台で事足ります。
2: UniFi Switch PoE 8 or UniFi Switch PoE 16 - $199/$299 (1台)
UDMからの接続を、各部屋のAPに有線で接続するためのスイッチです。以下で説明しますが、UniFiのAPはPoE (Power over Ethernet)経由の電源供給をサポートしています。そこで、PoE対応のスイッチを使用することでLANケーブルのみでデータ通信と電源供給を賄う事ができ、配線を完結にすることが出来ます。
3: UniFi Nano HD or UniFi HD AP - $179/$349 (3台)
次にAPです。APは複数製品あり(主にNano HD or HDが選択対象になります)、家庭利用ではNano HDがオススメです。
Nano HDはサイズがコンパクトでお求めやすくなっているのに対して、HDは有線ポートが2つあり2.4 GHz帯のパフォーマンスが高く価格も高くなっています。
先述の通りPoEをサポートしているため、有線LANケーブルを1本指すだけで通信と電源供給を賄う事が出来、画像の通り見た目も非常にスッキリします。
比較表を抜粋して上記に記載しました。どうしても有線ポートが必要な場合を除き、家庭利用ではNano HDが最適です。
4: UniFi AP Beacon HD - $129 (2台)
最後に導入したのが、Beacon HDです。こちらは上記のNano HD / HDを親機にし、メッシュを構築してカバー範囲を広げることが出来ます。
私はこちらを使用して家の中の電波が届きづらい場所をカバーするようにしました。コンセントにそのまま刺して設置する事ができ、デザインも非常にスタイリッシュです。
有線LANが各部屋に行き渡らない場合、Dream Machineを親機に使用して、Beacon HDを部屋に設置してカバレッジを増やすという設置方法が主流になります。
5: LANケーブル
部屋の色にあったもので、丈夫なものを買いましょう。
6: コンセントカバー
APを地面に置くのは見た目が悪いため、コンセントカバーを購入し、その上に配置するようにしました。今回はAmazonでこちらの製品を購入しました。
設置と配線
こちらが私の家の様子です。左からモデム、Dream Machine、Edge Router 6P (今回の記事の対象外)、16 Port PoE Switchになります。
他に試した製品
前述しましたが、UniFi以外の製品も実際に検討・購入したのですが様々な問題に遭遇しました。何か参考になればと、以下に共有させて頂きます。
Google WiFi / Nest WiFi
手始めにMesh WiFi製品の代表格であるGoogle WiFiとその後継製品であるNest WiFiを3台づつ合計6台を導入しました。私の実家で数年間安定稼働している実績もありました。
製品のメリットとして導入やメンテナンスが簡単な点が非常に魅力的です。特に2.4GHz帯と5GHz帯から最適なチャネルを自動的に解決してくれる機能により、チャネルの衝突がおきがちな集合住宅やマンション居住者にとっては良い選択肢の1つです。
Google Homeアプリを通じて他のGoogle / Nest製品とも統合的に管理できます。Nest WiFi PointはGoogle Assistant対応のスピーカーにもなり、様々な用途に使用することも出来ます。
しかし、同時接続クライアント数が20台を超えてきた段階で1日に数回5-10分程度の接続断が発生し、仕事にも影響が出始める結果になってしまいました。サポートに電話し、Factory Resetや製品の交換を行ったのですが、問題の解決まで至ることが出来ませんでした。
セットアップが単純化されて取っ付きが良い反面、ログなどを見れるわけではないので何かトラブルがあった際に問題解決が非常に難しいという教訓になりました。
Netgear Orbi 6 System AX6000 (RBK852)
次に、Netgear Orbi 6 System AX6000を購入しました。Netgear OrbiシリーズはNetgearが出している家庭用メッシュWiFiブランドで、こちらのモデルは2020年3月現在でのOrbi最上位機種になります。
Nest Wifiと比較すると単純にハードウェア性能が高いです。更にNest WiFiがデュアルバンドしかサポートしていない反面、こちらはトライバンドをサポート、それを利用してMeshノード間で専用コネクションを張るため安定性も向上する…と説明があります(製品比較)。
またiPhone 11からWiFi 6に対応しているため、そちらをサポートした製品を使ってパフォーマンスを計測してみたかったというのもあります。WiFi 6を使うことで混雑回避、バッテリー消費減、パフォーマンス向上を見込んでいました。
実際試してみたところ、パフォーマンスは多少向上したように思えるものの、こちらもクライアント数が30-40台を超えてきた段階で接続断が発生するようになってしまいました。
WiFi 6に関しても、そもそも契約できるXfinityの最上位プランが1 Gbpsプランとなっており上流がボトルネックになる以上、実質的なパフォーマンス向上は感じづらかったです。
その他の選択肢
更にハイエンドのWiFiソリューションになるとCisco MerakiやHP Arubaなどが有名で実際に私の勤務先でも採用しています。
ただIT部門の人たちが苦労しながら運用している(そして安定稼働が難しい)のを目の当たりにしていたため、家に気軽に導入するのは難しそうだなという印象を持っていました。
最近ではローエンド向けにMeraki Goという製品ラインもあるようなのですが、レビューを読んでいると、Orbiなどと同じくオールインワン型で小回りが効きそうになく、選択肢から除外しました。
まとめ
さて、今回は製品選定をしました。プロダクトが多く最初は戸惑うと思うので、お気軽に私までメール頂ければアドバイスしますよ!
次は(2) 設定編に続きます。